100周年記念対談 第四弾

最前線で現役として戦うOB・OGの座談会

末永健雄×土谷深浩×髙﨑真那×永田花菜×中野真太郎×安恒直人

進行)白川学さん(高71回)

<記念対談 第三弾

福高ラグビー部の100年の歴史をつないでいくため、OB・OGたちの座談会・インタビュー企画を展開していきます。7月10日に、トップレベルで現役を続けているOB・OGの座談会を行いました。ジャパンラグビー リーグワン ディビジョン1のクボタスピアーズ船橋・東京ベイの末永健雄さん(高65回)、土谷深浩さん(高68回)、太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ等に出場している横河武蔵野Artemi-Starsの髙﨑真那さん(高69回)、ナナイロプリズム福岡の永田花菜さん(高71回)、関東大学対抗戦Aの筑波大学ラグビー部の中野真太郎さん(高73回)、早稲田大学ラグビー蹴球部の安恒直人さん(高73回)にご参加いただき、白川学さん(高71回)の進行で福高ラグビーについて語っていただきました。

座談会に参加してくださった末永さん、土谷さん、髙﨑さん。(永田さん、中野さん、安恒さんはオンラインでご参加いただきました。)

白川
−まずは福高での思い出から聞いていきたいと思います。

中野
−合宿が一番の思い出です。その中でも、コーチの櫛山さんが考案された「無限タックル」というメニューがあって……。「OK」と言われるまでタックルを続けるのがしんどかったですね。櫛山さんがサングラスをかけたら、それがスタートの合図。OKが出るまでタックルを続けて最後は3年生が締めるというメニューで、ペナルティ的な位置付けでした。

永田
−フィットネスで言えば楢崎さんのトレーニング(通称、ならトレ)がきつかった……。

髙﨑
−私は、ならトレがある日はどの授業で寝ようか結構考えていた(笑)。

土谷
−僕らの時は医健の松井さんが楢崎さんのようにフィットネスを見てくれていて、それもめちゃくちゃキツかった。その中でも、練習後3年生に高校の横にあるラーメン屋さんでラーメンをご馳走してもらったことが思い出。

安恒
−福高ではラグビー部の仲間と過ごした時間がほとんどで、部活の時間だけではなくてオフの日にもみんなで出かけていました。練習では死ぬほど走って死ぬほどタックルしてめちゃくちゃきつかったですが、今となっては全ていい思い出です。

白川
−皆さんが福岡高校を選んだ理由について教えてください

クボタスピアーズ船橋・東京ベイでプレーする末永さん

末永
−僕はかしいヤングラガーズ出身で、チームメイトはみんな福高を目指していました。自分は元々学区が違ったので、東区の中学校に転校をして福岡高校に入りました。

土谷
−自分も同じで、かしいヤングラガーズ出身なんですけど、チームの中で福高に行く人と東福岡に行く人で結構二分化していました。色々あって迷ったんですけど、勉強を頑張って推薦で福高に入りました。

髙﨑
−女子でラグビーが出来る環境を探した時に、修猷館にも女子はいましたが、より環境が整っていたのは福高か筑紫でした。迷ったけど、(野田)夢乃さん(高68回)がいたのと、私も末永さんと一緒で学区が違ったんですけど、勝手に親が住所を福高の学区に変更したということがあって、福高にしました。

永田
−髙﨑さんを見ていて、それに影響を受けて福高にしました。

中野
−自分は福教大附属の中学だったので、他の高校に進学することもできたんですけど、ぎんなんリトルラガーズのOBに福高に行った人が多かったということもあり、福高を選びましたね。

白川
−福高での経験は今にどう生きていると思いますか?

髙﨑
−部活と並行して福岡レディースにも所属していましたが、そっちは「楽しく自由に」が根底にある、どちらかというとスキル面を重視した雰囲気でした。福高では基礎練習や体づくりの大切さを学ぶことが出来ました。

永田
−同じく福岡レディースではスキル面が中心でしたが、男子と同じ環境でコンタクトの練習をできたというのはフィジカルを鍛えるきっかけにもなったし、今にも活きているなと感じます。

末永
−僕らは森監督から指導されていたので、森監督の教えが残っています。今のラグビーはシステム化されているけど、森監督は言葉数も少なかったので、自分で考えて学ぶことができる環境でした。

髙﨑
−確かに、あまり詳しく教えてもらわなかったことが逆に自分で考えることにつながっていましたし、その分学年関係なく対等に話すって文化があったと思っています。そのような経験や習慣は、高校卒業してからも活きているなと感じます。

クボタスピアーズ船橋・東京ベイでプレーする土谷さん

土谷
−私立と違って初心者もいる環境だったからこそ、教える側としてアウトプットする機会も多くて、ラグビーに対する理解度がより高まった感じはしますね。

安恒
−僕が今に活きているなと思うのは、精神的に強くなれたことです。周りの仲間と協力して精神的にもきつい練習を乗り越えて成長できました。福高の練習で培ったメンタルは今も非常に活きていると思います!

中野
−僕は大学ラグビーではかなり小柄な方じゃないですか。フィジカルやアタック、ランなんかで自分より優れている人がたくさんいる中で試合に出られているのは、福高で”タックル”っていう一芸を磨くことができたからだと思っていて。高いレベルでも勝負できる武器を身につけることができました。

白川
−今中野さんから「小柄な方」という話も出ましたが、トップレベルに身を置いていると、外国人など自分よりも体が大きな選手も周りに多いのではないかと思います。どのようなマインドセットをしていますか?

末永
−変に意識しちゃうとよくない影響もあるし、あまり特別な意識はしていないかな。体のサイズとかは関係なく、自分のプレーを出すことを意識している。

永田
−セブンズ代表として海外の選手と試合をすると、日本代表の男子くらいのフィジカルの選手もいて、やっぱりその中で“フィジカルで勝つ”というのは難しいです。だからこそチームの一体感が大事だと思うし、ステップやオフロードなどの日本にしかない強みを中心に磨いて勝負できるようにしています。

中野
−体が大きい選手って結構高めに当たってくることが多いんですよ。だからこそ低いタックルが刺さることも多いし、怖がらないことが大切だと思います。

髙﨑
−フィジカルで勝てなくても、私はスピードでは勝てると思っていて。勝てないところで無理に勝負するんじゃなくて、総合力とか、自分の強いところがどこか考えながら成功体験を積み重ねて、自分に「あのとき出来たから出来るはずだ」って言い聞かせてやっています。

筑波大学でプレーする中野さん。福高のヘッドキャップを着用。

白川
−現在社会人としてラグビーをしている方もいらっしゃいますが、それぞれどのような状況なのでしょうか?

末永
−元々は社員で働きながらラグビーをやっていましたが、現在はプロとして契約したことでよりラグビーに集中して取り組めています。

髙﨑
−私も同じような待遇で、基本的にラグビーに集中して取り組めています。一つのことにしか集中できないタイプだから、(怪我をしている今は)リハビリなど、自分のできることを探して全力で取り組んでいます。

永田
−私もラグビーしかしていないです。ラグビーが業務みたいな感じです。

土谷
−自分は社員選手なので、社業をするときはしっかり目標を持って働くし、ラグビーのときは選手としてのマインドに切り替えているんですが、気持ちを切り替えて取り組めるようになったのは、福高の時のラグビーと勉強の両立という経験が生きている部分もあると思います。

中野
−僕は両立が苦手で、ラグビーに集中すると勉強がおろそかになっちゃうタイプだったので、あんまり現役の高校生に参考にはしてほしくないんですけど、勉強はいつでも出来るから高校の3年間はラグビーに集中しようと決めて取り組んでいました。

ナナイロプリズム福岡でプレーする永田さん。

白川
−皆さんの直近の一番の目標について聞かせてください

髙﨑
−福岡県でラグビーを始めて育ててもらったので、ふるさと枠で国スポ(旧国体)に出場したいです。10月にコーチングのA級ライセンスを取得予定なんですが、選手兼監督として出場できたらいいかなと考えていて。ライセンスがあると本来選手10人の枠を11人に増やせるので。監督らしいことはできないかもしれないけど、出場して活躍したいです。

永田
−久しぶりに出場する国スポで優勝できるようにがんばります!(編集者註:10/8~10に行われた国スポに福岡県代表として出場し、見事優勝されました)あと理想としては、4年後のオリンピックを目指してやっていきたいと思っています。

土谷
−僕はレギュラーになることです。

末永
−目標ちっちゃ!(笑)。

土谷
−末永さんと同じグランドに立てたらいいですね。

末永
−自分はチームの優勝が目標ですね。まだ深浩には負けんと思うけど。

中野
−大学選手権、国立の舞台で優勝することですね。あとはやっぱりキャプテンなのでしっかりグラウンドでチームを引っ張っていけたらなと思っています。

安恒
−まずは大学選手権で優勝し、「荒ぶる(早稲田大学ラグビー部が日本一になった時にのみ歌える部歌)」を歌うために、ラグビーに全てを注ぎ込みたいと思います。福高のタックルを全国で見せられるように頑張りたいです。しんちゃん(中野)には常にいい影響をもらっていて、筑波で活躍している姿を見ると負けたくないとも思うし、何より一緒に頑張りたいって気持ちが大きいです。小学校から高校まで12年間一緒にラグビーをしてきて、今年が “相手”として試合をできる最後のチャンスなので一緒に対抗戦・選手権で戦えるように頑張りたいです。

早稲田大学でプレーする安恒さん。

白川
−現役生に向けてメッセージをお願いします。

土谷
−100周年ということを気負わず楽しみながら取り組んで、打倒東福岡、そして花園出場を目指してやってほしい。陰ながら応援しています!ラグビー以外の場面でも、高校生活を精一杯楽しんでほしいですね。

髙﨑
−苦楽を共にした仲間は一生の宝だし、だからこそ同期で集まった時の空気感は特別なものがあると思う。あと、よく「継続は力なり」って言われるけど、同じことをやり続けることはすごく難しいので、3年間ラグビーを続けたという経験は自信にもなるし、大きな糧になると思う。頑張ってください!

永田
−高校の3年間は青春でした。代表や福岡レディースも楽しかったけど、部活動でしか味わえないことが多くあると思います。代表との兼ね合いであまり行けないときもありましたが、それでも楽しかったです!現役生は悔いのないように高校生活を満喫してください!

安恒
−福高ラグビー部は人としてすごく成長できるだけでなく、かけがえのない仲間を作ることができる場所だと思います。みんなと花園を目指して頑張った3年間はかけがえのない宝物で、本当に心の底から福高に入って良かったと思います。(これから進学を考える中学生には)高校3年間という短く、一度きりしかない高校生活をぜひ福高ラグビー部で過ごしてほしいなと思います。これからも福高の活躍を楽しみにしています。

中野
−最近、福高生が早稲田を目指すことが多いです。福高の練習に行った時も早稲田を目指しているという子が多かったですが、筑波にぜひ来てほしいです(笑)。

末永
−筑波もいいけど同志社も選択肢に入れてほしい(笑)。歓迎するよ!インスタグラムでたまにメッセージをもらうこともあるけど、なにか質問があれば何でも聞いて!

<記念対談 第三弾