寄稿 高校56回

ラグビーは…お好きですか?

片山倫太郎

「大好きです スポーツマンですから」
と高校時代、試合前には必ず「SLAM DUNK」を読んでモチベーションを高めたものです。

競技は違えど、勝ち負けに対する意識や仲間との団結、対戦相手へのリスペクトなど、このマンガに影響された方も多いのではないでしょうか。

来年の2024年で高校を卒業して20年になりますが、まさか今年、映画が公開されるとは思いませんでした。

私も20年ぶりにマンガを読み返し、名作は時を超えても色あせない素晴らしさを持っているのだなと再確認しました。

年齢を重ねても、当時の感動を思い出させてくれ、原点に立ち返れる。

同じようなものを福岡高校ラグビー部で過ごした3年間には凝縮されているなと感じます。

現役時代を思い返せば3年間、タックルばかり練習したものです。

毎日、毎日タックルを繰り返せば自然と自信がつき、結果として強い相手も倒せるようになりました。

私たちのライバルには日本代表で活躍したスーパースター山田選手がいます。

高校時代の悔しい思い出といえば、最後の試合に負けたことではなく、山田選手率いる小倉高校との練習試合で、100点差で負けたことでした。

3年間必死に練習して磨き上げ、自信を持ったタックルが山田選手には通用せず、一瞬で弾き飛ばされる。

ゴールキックの合間にみなで修正し、3人がかりのタックルに切り替えるも今度は3人吹っ飛ばされるというお粗末さ。

「ラグビーの名門

福岡高校の———

その空気を吸うだけで

僕は誰でも倒せると

思っていたのかなぁ…」

と落ち込んだものです。

そんな山田選手でも花園には出場できませんでした。

私たちの代(2003年)は、東福岡高校と小倉高校の同点優勝で、トライ数の差で東福岡高校が花園に出場しました。

幸運なことに、東福岡高校と毎週練習試合ができる時期がありました。

卒業後、東福岡高校の同年代の方たちに話を聞いたとき、朝起きてから寝るまでずっとラグビーが上達することを考えていたと伺いました。

彼らは世代を代表する選手も多く入学していますが、高校からラグビーを始めた初心者も多くいるとのことです。

同じ高校生、花園に出場した彼らと何が違うのかというと、ラグビーに対する目標の高さ、取り組む姿勢が段違いだったのだなと気づかされます。

今年のWBC(ワールドベースボールクラシック)で大谷翔平選手が「憧れるのを、やめましょう。今日、超えるために、トップになるために来たんで。今日一日だけは彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけ考えていきましょう。さあ、行こう!!」と決勝試合の前にげきを飛ばし、見事優勝を果たしました。
東福岡高校の選手は全員この気持ちが自然とできていて、私たちは憧れていたのだなと気づかされます。

森監督や藤先生、原先生はこの思いに気づいて欲しいと、彼らとの練習試合を毎週ねじ込んでくれたのだろうと今になれば気づけますが、当時は気づかず、劇的な成長を逃したものです。

しかし、当時のがむしゃらに頑張ったという事実の下支えがあったからこそ、この気づきを感覚的に得ることができました。

まだまだ人生半ば、

「あきらめたらそこで試合終了ですよ…?」

この言葉を胸に刻み、

「おう オレたちは56回生 あきらめの悪い男たち…」

高校3年間で培った諦めない気持ちを武器に、仕事や子育てに日々精進しております! 創部100周年、本当におめでとうございます!